『1%の努力』ひろゆき(西村博之)(6冊目)

読書日誌

概要

2chの管理人として有名なひろゆき氏の著書。ホリエモンと同様、インターネット時代の寵児とも言えるひろゆきの生い立ちから、人生についての考えについて述べられている本。
 インターネットの動画やテレビの印象では、屁理屈に近い意見をして相手を困らせてばかりいる人という印象。どんな人生を過ごしたら、こうした人格が形成されるのだろうか、普段からどんなことを考えているのかは非常に興味深い人だった。

団地っ子は強い

 幼い頃から団地で過ごしていたひろゆき氏。私にとって団地は、お金に余裕のない家族が多く住んでいるところで、生活水準が低く、育ちが悪い子が多いイメージだ。ひろゆき氏もそうした団地出身ということで、ああ、なるほど、この性格はそこからくるものなのだなと腑に落ちたところもあった。ただ、幼い頃からそうした環境で育った子は色々な面で強いと思う。欲しい物がすぐに買い与えられる家庭とは違うところが多い。ゲームは友達の家で遊んだり、公園で走り回ったりすることで満足できてしまう。物が無い状況でも、工夫をして自分たちが楽しめる環境を作ることができるのだ。一方で、欲しい物がすぐに買え与えてもらえるような裕福な家庭で育つと、大人になったときに苦労しやすい。物があることが普通だったのに、例えば一人暮らしをして、お金がなく、物が買えないとなっただけで不満を持ってしまう。無いことが当たり前の環境で育っている人が大人になって、例えば、ボロいアパートに住んだり、貧相な食事の毎日を過ごすことになっても、ある程度耐性があるし、そうした環境でも工夫をして楽しんで生活できるのでは無いかと思う。

人付き合いの考え方

 癖の強い人と多く関わってきたひろゆき氏だからこその、人との付き合い方について印象に残っていた考え方がある。「この人とは『前提』が違うんじゃ無いか」と考えて人と接しているらしい。社会生活を送っていると、価値観の異なる人と必ず出会う。そうした際、なんでこんなことが考えられないのだろう、なんて思いやりがない人なのだおう、などと自分との価値観の違いに困惑して、必要のない悲しい思いをするときもある。ひろゆき氏はこの違和感や違い、ズレを楽しんでいるという。ああ、こう言う人なんだ、面白いなと捉えることができれば、人付き合いが格段に楽になる。自分と他人はまったく違う人間である。それを素直に認めることができる強さを持っている人だなと思った。人付き合いに関わらず、「目の前の事象をとりあえず楽しんでみる」、ということは長い人生を良い方向に進むために大切なスキルなのかもしれない。

意外な一面

 当初のひろゆき氏のイメージは、しんどいこと、辛いことをなるべく避け、楽をして生きている人だった。しかし、意外な考えも持っていた。「特殊なポジションに手を挙げろ」。ひろゆき氏は、委員長だったり、飲み会の幹事といった役職に進んで手を挙げてきたそう。大勢の中で一人しかいない役割は、特殊なポジションとしてメリットが発生する可能性が高いのだそう。なるほど。以前、どこかのメルマガでも同じことが書いてあった。飲み会の幹事は誰しもが避けたい役職だ。店選びやメンバーとの連絡など、気を遣うことが多い。しかし、その分見返りも多いのだ。店を調べる上で、いろいろな店の情報を知ることができプライベートに活用ができたり、幹事だから周りが気遣って飲み代が安くなったり、飲み会の「主役」になれる。誰も手を挙げたがらない仕事に積極的に手を上げることも同じことだ。自主性を伴った仕事が人を一番成長させる。仕事を引き受け、それに取り組んでいる過程こそは大変かもしれないが、それをやり遂げた後の達成感は大きい。そして、それこそが成長の糧になる。このサイクルを何度も繰り返せば、社内(社会)でも一目置かれる人材になっていると思う。

正しい方向への努力

 決して努力をするなと、楽をして生きろという話ではなかった。仕事でも、プライベートでも、何に注力することが、人生にとって一番プラスになるか。ひろゆき氏はそうした自分の努力を投下する対象を常に考え続けている。そして、これだ!と思った物に1%分の努力をぶつける。前田氏、堀江氏に共通していることだが、自分の人生のコンパス(目的、熱中できるもの)を真剣に考え見つけることは、成功している人の共通点であると思う。

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