久しぶりの投稿。仕事の都合で購入。Amazonでは結構な売れ行きらしく、クチコミ評価も良かったので期待が高かった。クチコミに違わぬ良書であった。内容は営業に関するものであったが、これからを生きる上で心に留めておきたい考え方も多かった。金沢氏の人柄が好きになった。
金沢氏は京都大学を卒業したのち、TBSへ入社した。大学までは関西で過ごしていたので、本の中で時々関西弁が出てくる。TBSを退社したのち、プルデンシャル生命保険に入社する。転職理由が、TBSというテレビ局の看板で「エラくなった」と勘違いしている自分に嫌気がさしたから。世の中的にはかなり羨ましい立場であるが、それを投げ打って、全く経験のない営業の世界に飛び込む覚悟をすごいと思った。そして、プルデンシャル生命保険では、一年目にして個人保険部門で日本一。また、3年目には、卓越した生命保険・金融プロフェッショナル組織MDRT(Million Dollar Round Table)の6倍基準である「Top of the Table(TOT)」に到達。最終的には、自ら営業をすることなく「あなたから買いたい」と言われる営業スタイルを確立し、個人営業マンとして伝説的な数字を作った。
本書では、そうした伝説的な数字を残すに至った金沢氏の考え方と実践された行動が記されている。
揺るぎない「プライド」を持つために
冒頭で印象に残ったのが、揺るぎない「プライド」を持つためにやるべきことについての話。金沢氏は大学時代にアメフト部に所属しており、そこに1年生から補欠の同級生がいた。彼はレギュラーではなく、まったく目立たない地味な存在だったが、いつも堂々としていて金沢氏も気になる存在だったそう。補欠であるが、一切不平不満を漏らさず、黙々と誰よりも厳しい練習をこなしていた。彼のその姿を見て、「本物のプライド」の意味を理解したそう。レギュラーであるか補欠であるかは彼にとって問題ではないのだ。自分で納得がいく努力を続けられたかどうかが大事なのだ。努力が自分に恥じることのないものであれば、他人からどんな評価をされようとも、自分の「プライド」は絶対に揺るがない。それこそが「本物のプライド」なのだ。生命保険会社に入社し、「保険屋」というだけでまともに取り合ってもらえず、時には非難や皮肉めいた言葉を投げかけられることもあったそう。それでも、心折れずに続けられたのは、同級生の姿を思い出し、自分を奮い立たすことができたからだそうだ。努力は他人の評価のためにするものではない。自分のためにするものなのだ。自分が納得できる努力をしている人は、他人から見ても堂々としている。
「プラス思考」とは
途中にあった奥さんの話も印象的であった。「置かれている状況のなかで『いいこと』を見つけて、プラス方向にものを考える」。起きてしまった事実は変えることができない。それに対して、自分や他人をぐちぐち責めても何も変われない。ならば、その状況を好転させるための努力をするしかない。この考え方を心に留めて実践するだけでも、人生は豊かになると思う。常にみんながハッピーになるためにはどうすれば良いかを考え、行動する。日々そのように心がけて行動をしているのと、自分が困っている時でも、周りの人が「この人に力を貸そう」と思ってくれるものだ。間違いをしてしまうと、つい態度にでてしまい、雰囲気を悪くしてしまうタイプの自分にとっては耳の痛い話であったが、心がけるだけでもやってみようと思った。
「コツコツ」努力する人を神様は見てくれている
最後まで営業に関することを書いていなかった…。本書を読んで感じた金沢氏の凄さは、「誰にでもできそうだが、誰もやっていないこと」を実践していることではないかと思う。スケジュール帳をアポイントで埋め尽くす、会社に寝泊まりして仕事をする、翌日の仕事のために接待は断る、など。これらは営業マンがやろうと思えば誰でもできそうなことである。しかし、「大変そう」ということを理由に、実践している人はほとんでいない。当たり前のことを徹底的に実践し、継続する。このことがいかに難しいことか。最後に勝つのは「要領よくやる人」ではなく、「コツコツと努力できる人」であると金沢氏は言っている。要領よくという言葉は、「手を抜く」とも言い換えられる。人間、ついつい楽な方、楽な方へと流されてしまう。しかし、神様はそれをしっかり見ている。その一瞬は確かに楽かもしれないが、長い目で見るとどうだろうか。冒頭、金沢氏が一目置いていた京都大学のアメフト部の友達は、大学4年生の一番大事な試合でレギュラーに抜擢され、大活躍をしたらしい。地味な練習でも手を抜かず、コツコツ積み重ねた努力が報われたのだ。人は私生活のあらゆる場面で選択を迫られる。その一つ一つで、「簡単で楽な方」を選択し続けるのと、「めんどうで大変な方」を選択するのとでは、長い目で見て、人としての深さ、厚みが全然違うものになると思う。豊かな人生を送るためにどっちを選択するべきか、その答えは明確である。
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