「図」の持つ力=「抽象化力」のアップ
書店に一歩足を踏み入れてみると、ビジネスで活用できる「フレームワーク」を解説している書籍がずらりと並んでいる。「図で考える」ことについて解説されている本もよく見かける。なぜ図で考えることが重要なのか。本書の言葉を借りれば、「図」を使うことで、「抽象化」することが簡単になるからだそう。目の前にある具体的な事象を図式化することで、余分な枝葉が削ぎ落とされ、その事象はシンプルになり抽象的になっていく。抽象化することができると、物事の「本質」が見えてくる。現場で発生したトラブルについて、そのトラブルが起こった工程を図式化し俯瞰してみると、原因となっていそうな工程がぼんやり見えてくるといったようなイメージだ。「図」で表すことで、物事がシンプルになる。シンプルになればなるほど、本質的な部分に近づけるのである。私も本のサブタイトルにある「抽象化思考」というワードに惹かれて本書を購入した。1冊前の『言語化力』でも感じたことであるが、高いレベルのビジネスの現場に身を置いている人は、考えている内容が大体「抽象的」である。「抽象的」と聞くとマイナスなイメージに聞こえるかもしれないが、大きなプロジェクトであるほど、その本質となる部分をはっきりしておく必要がある。幹や根となる部分があやふやでは、木は大きく成長しない。
日々の現場で意識して使うしか…
本書の内容について正直言うと、「すぐに実践できるかなこれ…」というのが本音だった。なんせ、著者は東大からマサチューセッツ工科大学でMBAを取得しているような方である。脳のスペックがそもそも違いすぎる気がする(汗)。ただ、読み進めていくと、使っている「図」の種類はそこまで多くないことに気がついた。『おでん』『ピラミッド』『田の字』『矢バネ』『ループ』、本書で説明されていたのはこれくらいで、あとはこれらをどのように組み合わせ、活用するかだけなのだ。『田の字』で言えば、どういった項目を縦軸・横軸に据えるか(例えば、「原因と結果」であったり、「対立する項目」であったりなど)で図から得られる情報が変わってくる。日々の生活や仕事の中で意識して使用してみることで、だんだんと腹落ちしてくるのだろう。
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