『米国株投資で爆速1億円』マーシー(12冊目)

読書日誌

 最近、株式投資を始め、情報収集をしていく中で、どうやら米国株が良いらしいという情報に辿り着いた。投資本を探していたところ目についたので購入。地方住みの平凡なサラリーマン(年収400万円)が、わずか7年で金融資産1億円を達成するという、なんとも羨ましいストーリー。自分と変わらないくらいの年収の人でもチャンスがあるのだと知ることができ、投資のモチベーションにもなった。

 一般的に、投資で勝つ確率が最も高いのは、株式を分散して投資し、毎月コツコツと長期間にわたって積み立てることだ。アメリカ経済は時に多少の乱高下があるものの、長期スパンで見れば常に右肩上がりで成長している。有名な米国株価指標であるS&P500の成長グラフがそれを証明している。コツコツ積み立てるだけでかなり高い勝率でお金を増やすことができる。しかし、それだと時間がかかりすぎる。著者の投資スタンスはそうした安定した長期投資とは反対をいく。高いリスクを承知の上で少数の個別株に絞って投資することで、「爆速」で稼ぐことを可能している。

「儲けている」人の共通点

本を読むと同時に、ツイッターなどで株で成功している人のツイートを読んだりもした。株で儲けいる人に共通することは二つあるように思う。

一つは、多くの人が倹約家ということだ。本書では家賃や携帯料金、保険料といった月々の固定費をしっかり抑えるべしといった助言があった。投資家で成功している人は、一見、散財ばかりで派手な生活を送っているようなイメージがある。だが実際はその通りではないと思う。無駄な出費は徹底して切り詰め、一円単位にまで拘っている人の方がむしろ大半ではないだろうか。お金持ちは自分の財布の中身の金額を一円単位まで把握しているとよく言われているが、本当にその通りではないか。本書では、著者が月の振込手数料の無料回数を勘違いで超えてしまい、手数料を無駄に支払ってしまったことを後悔するエピソードがあった。1億円を稼いでいる人でも、そうした細かいところにまで気を配っているのだ。投資初心者でろくに利益を出せていない私こそ、より強く意識をしないといけないのではなかろうか・・・。

投資で成功している人の共通点の二つ目は、リスク許容度の高さだ。もっと分かりやすく言うと、株価が暴落し、周りが狼狽して売りに走っている状況でも、冷静に自分の信じた株を買える(保有し続ける)勇気があるかどうかだ。周りと同じことをしていては、著者のような「爆益」を享受することなどできるはずがない。ハイリスクなしでハイリターンはないのだ。株の世界は残酷だがある意味では平等だ。ツイッターで高らかに資産を公開している人は、それに値するだけのリスクを背負ってきたからこそ今があるのだ。楽をして稼いでいる人はいない。彼らは、他の誰よりも企業について調べ、情報収集を行い、「リスク上等」の覚悟で株を保有している。信じた株が下落を続ける日々は精神にかなり堪えるだろう。毎日の暴落に耐えかねて損切りしてしまうのは凡人だ。しかし、そうした辛い時期を耐え忍ぶことで、はじめて春が訪れる。人それぞれ、自分の余剰資産との相談になるが、いったいどのくらいの金額までならリスクをとって投資ができるのか、そのラインを正確に把握していることは投資で成功するための最低条件であることは間違いない。「周りと反対に走れる勇気」なくして高い利益は出せない。

「株=嫁」くらいの愛情

 成功している人の共通点は先に上げた通りだ。では、著者が他の投資家より秀でている点はなにか。それは保有している株への愛情だと思う。変な例えだが、一夫多妻制で妻が多くなればなるほど、それだけひとりひとりの妻への愛情も分散してしまう。「はて、〇〇番目の妻はなんて名前だったかな?」なんてことになりかねない。全ての妻に平等に愛情を注げる猛者はそうそういない。著者も述べているが、自分が投資している企業が「何をしている企業か」「何をしようとしている企業か」を最低限理解できていないのは論外だ。企業が持つ本質的な価値や、社会へどういった形で貢献している企業なのかを知らずに株を買うのは、「相手の性格を全く知らずに初対面で結婚するようなもの」だ。自分の人生を豊かにしてくれるかもしれない企業なのだから、愛情を持てるくらい調べ尽くすのは当たり前なのだ。「重たい愛」は嫌われがちだが、こと投資の世界では案外悪くないかもしれない。

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