『勝ち続ける意志力』梅原 大吾 氏(15冊目)

言わずと知れたプロゲーマーである「ウメハラ」氏の自叙伝。日本人初のプロ格闘ゲーマーとして有名な梅原氏。幼少期にゲームに出会い、自分の「好き」を職業にしてしまうまでにゲームと向き合ってきた著者が語る「勝ち続ける」ための考えについては、ビジネスや私生活でも参考になる点があった。

才能を凌駕するほど圧倒的な努力

 今でこそクリーンなイメージになっているが、ゲームセンターと言えば、オタクや不良、家庭内で問題を抱えた子が集まっているような場所で、昔はどちらかというと悪いイメージが先行していたように思う。著者は小さい頃にゲームに出会い、本気で極めようとゲームセンターに足繁く通っていた。ただ、著者はいわゆる不良でもなければ、勉強も運動も普通以上にでき、学校ではそこそこ優等生としての立ち位置を確立していた。小学、中学、高校と周りの人間が「普通」の人生を歩むなで、ゲームを続けることへの不安感や劣等感を感じずにはいられなかったと述べられていた。そうしたなかで、「手を抜かず徹底的に努力すること」を続けることで、自分はこれでいいんだという「自信」を得ていったという。

才能をも凌駕するほどの圧倒的な努力。これは著者が幼少から貫いてきた信念だ。苦手なものを克服しようとしたり、あえて厳しい道を選んだりすることを心がけている。人間、どうしても守りに入りがちだ。一度強い戦法を見つけたら、その戦法に固執してしまう。一度築いた地位を捨ててまで、未開の境地に挑戦する勇気がある人はなかなかいない。「失敗していないということは、成長が止まっていること」なのだ。毎日の作業をちょっと工夫してみてみたり、もっと効率的にできることはないかななど、小さな変化でもいいから毎日意識して積み重ねる。そうすることで、気がつくとこれまでとは違う景色が見えるようになっている。著者がゲームという世界で常にトップの座を守り続けて来た。それは、常に挑戦者の姿勢で、その地位に安住せず、変化を受け入れてこれたからこそなのだ。

誰にも負けない強みって…

どちらかと言えば、「決められたレール」の上を歩いてきた「普通」の人間である自分にとっては、自分の好きなこと、「これだけは誰にも負けない」という強みがある人が本当に羨ましい。一芸に秀でることはとても大切なことであるし、それを仕事にできたなら、人生にとってとても素晴らしいことである。テレビでも自分の好きなことを仕事にしている人がよく特集されている。彼ら彼女らはとても充実した顔で、輝いて見える。私みたいに、自分が何が好きかわからなければ、あれこれと好奇心を持って何でも手を出してみてもいいかもしれない。やってみないことには合う合わないはわからない。0から1にする工程が一番大変だが大事だ。まずは重い腰を上げ、動き始めてみる。いまは人生100年時代だ。これから自分の好きを見つけることができる可能性はまだまだ十分にある。

「正しい姿勢」で石の上にも三年

何かを身につけたいと思ったとき、心に留めておきたい著者の言葉があった。それは「丁寧に、慎重に、基本を学ぶべきだ」ということ。はじめから小手先のテクニックを学んだり、独自の取り組み方をしたり、自由に伸び伸びと練習したりすると、最終的に底の浅い仕上がりになってしまうらしい。著者はゲームの他にも、麻雀においてもトップレベルの実力を持っている。その実力を身につけることができたのは、徹底的に基礎を叩き込んだからだそうだ。著者曰く、必ず2、3年は基礎を学ぶべしとのこと。自分の我を通すことなく、セオリックなことを学ぶべきで、ベースが身に付いたところで初めて、異なるやり方を模索すればいい。ビジネスでも、とりあえず3年は仕事を続けてみよとよく言われている。合う合わない限らず、3年は修行と思って続ける。そして、基本が身についてはじめて自分の色を出していけばいい。ビジネスの現場でも、趣味のゴルフでも、基本を徹底的に実践することがいかに難しいかは痛感している。しかし、それこそが成長への近道なのは間違いない。

コメント

タイトルとURLをコピーしました